よくあるご質問

FAQ

犬の病気

オス犬のお尻が膨らんでいて、うんちやおしっこが出にくいようです。

答え

会陰ヘルニアの疑いがあります。すぐに受診してください。

会陰ヘルニアとは、直腸を支持している筋肉群が萎縮することでヘルニア孔(臓器がとび出る穴)が発生し、直腸や膀胱、前立腺、小腸などが会陰部(肛門の腹側付近)の皮膚の下にとび出ることで発症します。

中齢以降の去勢していないオスに多発する疾患で、マルチーズ、パピヨン、ミニチュア・ダックスフンド、ポメラニアン、コーギーなどの小型犬に多くみられる傾向があります。
便が出にくい(便秘など)、尿が出にくい、しぶりなどの症状によって生活に大きな支障が出ることがあります。

会陰ヘルニア 会陰ヘルニアの写真

原因はアンドロゲンやテストステロン(男性ホルモン)の影響が示唆されています。
若齢期に去勢手術を行うと予防できる可能性があると言われています。

会陰ヘルニアが発症してしまった場合は、手術を行い、ヘルニア孔を塞ぐ必要があります。
会陰ヘルニア整復術は不可欠なものではありませんが、膀胱がヘルニア孔から尾側方向に脱出して反転した結果、尿道が屈曲して尿道閉塞を引き起こし、致死的な経過をとることもあります。
そのため、診断後は早めに手術をする事をおすすめします。

直腸が尾側に脱出して排便困難になり、便が異常に充満すると、直腸憩室(腸の壁の一部が飛び出して袋のようになったもの)ができ、肛門横の皮膚の下で異常な膨らみになります。
ここには硬い便が貯まり、痛みや出血を伴ったり、ひどい場合は薄くなった腸壁が破けて便が漏れ、細菌感染(エンドトキシンショック等)により命を落とす可能性もあります。

手術ではヘルニア孔を塞ぎますが、再発率は10〜46%と言われています。
去勢手術をしていない場合は、去勢手術をしている犬と比べて再発率が2.7倍になるとも言われています。

病態が進行している場合は、筋肉も更に薄くなっているため、術後の再発率が上がり、人工素材で塞がなくてはならない場合もあります。

会陰ヘルニアは、犬にとっても人にとってもQOL(生活の質)が著しく低下することが多く、最悪の場合、死に至る病気です。
このような状態にならないためにも、若いうちに去勢手術をご検討ください。

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