こんにちは。エルフペットクリニック院長の猪毛尾です。
ワンちゃんが耳を痒そうにしていませんか?
その痒みは「外耳炎」によるものかもしれません。
痒みが長期間続く場合は、ただれや臭いがひどくなり、耳の穴が腫れてどんどん悪くなってしまう事もあります。
長期化した「慢性外耳炎」は「中耳炎」や「内耳炎」に進展し、神経症状を引き起こしたり、耳道壁が破綻して耳の周りに膿(ウミ)がたまり、破裂する事もあります。
ひとたび重症化すると、動物の生活の質が著しく低下し、治療しても完治せずに後遺症が残ることもあります。
そのため、「外耳炎」は早めの治療が大切で、必要であれば外科手術も検討します。
外科的な治療の目的は、腫瘤(シュリュウ/こぶ、固まりのこと)や腫れて硬くなってしまった耳道を切除し、耳の通りを良くすることです。
耳道の一部や半分ほど切除する方法や、耳道全てを切除する方法など、いくつかの方法がありますが、今回は外耳道の半分ほどを切除する「垂直耳道切除術」についてご紹介します。
「外耳道」は耳に入ってすぐの「垂直耳道」と、その奥の鼓膜に向かって真っ直ぐのびた「水平耳道」に分けられます。
外から見えるのは「垂直耳道」の一部です。
この「垂直耳道」に耳の穴をふさいでしまうような腫瘤や重度な腫れがある場合は、切除する事で耳の通りが良くなり、外耳炎のコントロールが上手くいくようになります。
「耳を切除する」と言われるとショックかもしれませんが、術後の外観はあまり変わりません。
下の写真は、実際の手術直後のものです。
耳翼(ジヨク/みみたぶのこと)を残し、耳の穴の場所を変えました。
手術直後でも、耳翼を垂らすと見た目の変化はあまり感じられませんでした。
次に、術後1ヶ月の耳翼を上げた写真です。
矢印部分が耳の穴ですが、痛々しい感じはなくなり、もう外耳炎はありません。
内科的なコントロールが上手くいかない難治性の外耳炎は、原因によっては手術などの外科的な治療を行うと、コントロールが上手くいく可能性があります。
また、立ち耳の犬は垂れ耳の犬に比べると外耳炎は少ないですが、手術が必要な場合もあります。
術後の見た目は垂れ耳の犬よりは変わりますが、毛が生えるのであまり気にならないかと思います。
当院では、必要に応じて様々な治療方法を検討していくように心がけています。
何か気になる事があれば、お気軽にエルフペットクリニックにご相談ください。